設計士ブログ
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住宅で1日に使う電気は、暖冷房・給湯・家電・照明等全て含めると14kWh程度(断熱性能の低い住宅や給湯設備が電気温水器のご家庭
は、もっと使用量は多い)です。
この14kWhの電気の一部を燃料費(光熱費)をかけずに住宅で創る現実的で確立された方法は、太陽光発電しかありません。
勘違いしないでほしいのは、別に太陽光発電が好きだから、又は住宅単価が上がり工務店としての
利益も増えるから、普及させたいわけでなく他に変わる創エネ手段がないから普及が必要と考えているだけです。
和歌山県の住宅での太陽光パネル設置率は、調べても出てこないのですが、おそらく5〜10%ぐらいでは無いでしょうか?
(ご存知の方がおられたら教えてください!^_^)
▼目次
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・太陽光のコストと光熱費削減効果
・将来、古くなった太陽光パネル廃棄の環境への悪影響
・東京都の今回の法案
ここからが本題ですが
太陽光発電は本当に元が取れて得になるのか?
前回ブログでも書きましたが弊社での標準的な太陽光発電の搭載容量は4.56kWで設置コストは100万円程度です。
一方、太陽光で発電した余剰電力を売る場合、2022年度内ですと今後10年間は1kwhあたりで17円です。
こういわれてもピンとこないと思うので、1か月の電気代でお話します。
一般的な4人家族では月々の電気代は年平均で13000円~15000円(今は電気代急騰でもっと高いかも??)くらい。
そこに太陽光発電を搭載すると電気が作れます。
和歌山県の場合年平均日射量が比較的多いので、余った電気を売った収入で5000円、昼間に高い電気を買わなくて節約できた分が約4000円、
合計9000円くらい経済的効果(オトクになる)があります。
つまり、太陽光発電を載せていない場合は月々13000円~15000円の電気代が、9000円安くなって4000円~6000円くらいですむ計算になります。
初期コストの100万円もほぼ10年以内に回収できます。電気代上昇を考慮するともっと早く回収できる可能性もあります。
※自家消費率(売るのでは無く昼間太陽光が発電している時間帯に出来るだけ電気を使う)を上げるのも経済的効果を増大させます。
初期コストの100万円を回収した後は、この金額が太陽光発電システムが壊れるまで、ず~っとお得になります。
たしかに設置後10年以降(FIT期間終了後)は買取単価が下がりますが、電気エネルギーが0円になる事は考えづらいです。
また発電分を自分でなるべく使ってしまえば大丈夫です。(自家消費率を高める)
自分で使うというのは、例えばエコキュートを深夜電力で沸かすのではなく、太陽光が発電している時間帯(昼間)に沸かす。
又は今後、普及していくのは間違いのない電気自動車を購入して昼間に充電するなどです。
更には10年後には流石に今よりは購入価格が下がっていると思われる蓄電池を導入すれば、発電分のほぼ全てを自家消費することも可能です。
この計算は、太陽光発電の初期コストを自己負担したケースの結果です。前回ブログでも書きました太陽光リースでは、
発電分のほとんどがリース会社のものになってしまうので、メリットは小さくなります。
多少無理してでも、自己資金又は住宅ローンにて太陽光を載せた方がかなりお得だと思います。
というか投資信託や株式を購入するぐらいなら、99・99%の高確率で利益の出る太陽光発電が
より安全で確実な投資とも言えると思います。
今後の生活費(電気代)の安心のために、太陽光はとりあえず載せておきましょう!!
昔のように売電して大儲けという感じにはなりませんが、自分が払う電気代を削減することが確実に出来ます。
太陽光発電システムで故障が多いのは、パネルではなくて、パワコンという家庭で電気として使う為に直流を交流に変換する部品になります。
これは15~20年で交換が必要ですが、それほど高価なものではありませんしメーカー保証も15年が付いています。
コストの多くを占めるパネルですが、弊社で標準仕様としているエクソルではパネルの製品保証12年・出力保証25年とかなりの長期保証が付いています。
(他メーカーも同じぐらい)しかし実際にはもっと長く持つとも言われています。
それでも使えなくなる日は必ずきます。その時に、屋根に乗っているだけの太陽光パネルをどう考えるか?
そもそも太陽光パネルの材質は大半がガラスとアルミで出来ています。一部、銀やら銅やら鉛などが含まれているようですが
有害物質と言われる鉛も少しだけ使用されている場合があるだけです。
更に言えば、壊れたからと言って屋根の上に載っている太陽光パネルを撤去する必要があるのか?とも考えてしまいます。
屋根材(ガルバや瓦)の劣化の主原因は紫外線です。太陽光パネルが載っていると紫外線劣化は軽減されますし
壊れてもよっぽどの事が無い限り撤去する必要は無いと個人的には思います。
そもそも、廃棄が問題になりえるものは、他にもたくさんあるのでは無いでしょうか?
世の中に出回っている電子機器(半導体)などにも同じように有害物質は含有されています。
太陽光パネルの廃棄問題だけ大きく取り上げられるのは、なぜなんでしょうか?
東京都の今回の法案には批判的な意見も多く聞かれます。
でも僕らが出来る事は、
「高効率な空調設備」「パッシブ設計」「断熱・気密」「太陽光発電システム」の4つだけなんです。
住宅の省エネを何十年も研究している著名な方々が
研究を続けてきた結果、上記のような結論に辿り着いています。
今回の東京都の案を潰して、結局、損をするのは誰か?
家を建てたその後にず~っと高い電気代を払わされるお施主様だと思います。
そして、この案を潰して得をするのは? それは僕にはわかりません・・・・
一般の方が家を建てる時、省エネとか高気密高断熱とかを考える余裕がある人ばかりでは無いと思います。
でもエイト建築設計事務所で建てて頂いたお施主様には
「何も考えずにエイト建築設計事務所で家を建てたけど、よ~分からんけど
冬もぬくいし夏も冷房効くし電気代も安いからよかったわ~」
て言って頂ければ最高にうれしいです^^
太陽光を義務化することで、一番得をするのは、国でも無く、ハウスメーカーや工務店でもなく
僕のような時間に余裕が無い・お金にも余裕が無い一般の方たちだと思います。