設計士ブログ
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こんにちは。
今回お伝えしたいのは、家づくりで欠かせない認識「自然温度差」についてです。
自然温度差とは「室温」と「外気温」の差のことで、つまり外気温が0℃のとき暖房を使わず室温がどのくらいになるかです。
例えば「自然温度差が10の家」は外気温が0℃のとき室内が10℃ということになりますね。
ですから、外気温が0℃の日に室内を20℃にしたいのであれば、家の中を10℃上げる必要があります。同様に、自然温度差が5℃の家なら15℃上げなくてはならない、というわけです。
ただ、室内の熱は人間から発せられるものや家電から発せられるもの、窓から入る日射量によるので、何人家族か、どんな暮らしをするか、どんな天気か、その日によっても変わってしまいます。
ですから、やはりUA値又はQ値(どれくらい熱が逃げにくい家なのか)とC値(家にどれくらいすき間があるのか)に着目する必要があるということですね。
その上で、足りない熱量だけ投入することが大切になります。
次の式は、最も寒い日の夜明け前に一切の日射と内部発熱が無くても家じゅうを24度に保てる暖房能力の計算例です。
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必要暖房能力(w)=面積 × Q値 × (24℃-冬の外気最低温度)
120㎡でQ値2.7(24-0)=7776w
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※各部屋が間仕切られ、ドアが閉まっている場合、この式はあてはまりません。
その場合は必要量の暖気を各部屋に循環させる仕組みが必要です。
繰り返しになりますが、家は冷暖房なしの「すっぴん」状態での性能を上げることが重要です。
そこで言われるのが “パッシブデザイン” というわけです。
パッシブデザインとは、建物のまわりを取り巻く自然環境をうまく利用して設計すること。
気温、日射、雨量、風、地熱などのエネルギーを使ってなるべく人工的なエネルギー消費を抑え、装置に頼らず快適かつ経済的な室内環境を作る考え方です。
例えば、私たちエイト建築設計事務所が取り組んでいるのは…
◎影から考える設計
間取りは太陽光をしっかり取り入れるため、冬至の日の等時間日影図を基本に考案します。
1年で最も陽が低い日に日当たりが良い場所へ建物全体を配置し、窓の大きさやリビング・庭の計画を立てていきます。
また、できるだけ影を作らないよう建物の凹凸をなくすデザインを考えます。
◎窓の断熱性に深く着目
第一条件として、最低気温の時に室内を20℃、相対湿度を50%にして窓が結露しないことを最低条件にしています。
そのため、素材は樹脂窓(東西北面はAPW430・南面はAPW330+ハニカム+シェードor庇)を提案しています。
冬だけでなく夏の日射遮蔽についても専門知識を持って庇の設置やアウターシェードの採用、遮熱ガラスと断熱ガラスの使い分けなどを提案させていただきます。
夏の日差しは強烈ですから、窓から熱量を取り込みすぎると室内温度が上がりエアコンをたくさん回さなくてはならないので、冷房期にはシェードを降ろすなどもお願いしています。
ポイントは、「高断熱の家を基本」としながら「日射量をコントロール」することですね。コスパの点で言っても、窓まわりから断熱対策するのが最優先かと思います。
このように、室内の快適さを保つには、思った以上に細かい科学と技術が必要、かつ自然を知ることが大事です。
実際にはドアの開閉や換気による熱損失、人や家電による発熱などが常に関わってきますので、基本の造りを大切に考えながら、暮らし方を意識していただければと思います。
エイト建築設計事務所の取り組みについては、こちらでもご覧いただけます!
「エイト建築設計事務所のパッシブ設計」