設計士ブログ
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今回は松尾和也先生に教わり弊所でも実践している「太陽に素直な設計」を解説します。
弊所では基本的に南面の日射取得窓はAPW330(日射取得型)、東西北面はAPW430(日射遮蔽型)を使用しています。
※APW330・・・ペアガラス
※APW430・・・トリプルガラス
費用対効果という側面も大きいですが、(掃き出し窓などの大窓はAPW430にすると滅茶苦茶高い・・・しかも重い)
南面は出来る限り暖房期の日射を取り込み、自然温度差を大きくしたい(例:外気温8℃~室内温度24℃)
日射熱の力は、とてつもなく大きいものです。
下記表は夏・冬それぞれの東西南北+水平面(屋根)でどれだけの日射熱が取得出来るかを表した表です。
この表を見ると
東西北面では夏も冬も、ほとんど日射熱量は変わらない。水平面(屋根)に関してはイメージ通り、夏の方が日射の影響が大きい。
一方、南面は夏と冬では室内に取り込める日射熱に、かなりの違いがある事が分かります。
(冬の場合、一般的な掃き出し窓1箇所でコタツ1台よりも大きな熱量を得る事が出来ます)
それは何故か???
太陽の角度が違うから!
夏の場合(夏至)は日射角度は約78℃
冬の場合(冬至)は日射角度は約30℃
感覚的には冬の南面窓への日射は、窓に対しほぼ垂直(実際には約30℃)に入ってきます。
夏の南面窓への日射は、かなり角度がついてダイレクトには入ってこない。
この角度を利用して夏は庇またアウターシェードにて日射熱を遮るのが基本となります。
下記は各種条件の日射熱取得率を表す表です。
サッシ種類 |
ガラス種類 |
ガラスのみの日射熱取得率 | アウターシェード有の日射熱取得率 |
APW430 | LOW-E三層複層ガラス(日射遮蔽型ブルー) | 0.33 | 0.13 |
APW330 | LOW-E複層ガラス(日射取得型ニュートラル) | 0.64 | 0.14 |
APW430(日射遮蔽型)の場合は日射熱取得率0.33となります(日射熱67%カット)
APW330(日射取得型)の場合は日射熱取得率0.64となります(日射熱36%カット)
以上のような理由により弊所では
①東西北面は、余程の理由が無い限り(眺望が良いなど)出来る限り小さい窓を配置しAPW430(日射遮蔽型)を基本とする。
とはいえ昼間、照明を付けなくても暗くない程度の窓は最低限配置。
②南面に関してはAPW330(日射取得型)の大窓(掃き出し窓等)を耐震性能に支障が及ばない範囲で可能な限り複数個所配置し(耐震等級3は絶対確保!)
なおかつ昼間カーテンを閉めなくても良いように(最大限の日射取得)目隠しフェンスの計画及び夜間、室内に蓄えた熱を逃がさないようハニカムブラインドを提案。
なおかつ夏の日射遮蔽を完璧にするために南面の日射取得窓にはアウターシェード又は庇を適材適所に配置します。
エイト建築設計事務所では冬の日射取得を最大化、夏の日射遮蔽を完璧にするために第一プラン作成時であっても等時間日影図の作成(日当たりの良い場所が分かる図面です)及び許容応力度計算にて安全性の確認を行っています!